PRODUCT NOTE / GAME DESIGN

Synapse Link

つないで、ひとつにする物理パズル。
この文書は「どう遊ぶか」ではなく、なぜ・誰のために・どんな体験のために作ったかを記録した設計ノートです。

ステータスShipped(リリース済み)
リリース2026-02-18
プラットフォームiOS(App Store)/ Android(APK 直配布)/ Web
対象ユーザースキマ時間に触れるカジュアルゲーマー
ジャンルミニマル・フィジックスパズル
最終更新2026-08-15
関連リンク App StoreAndroid APKWeb で遊ぶ紹介ページ
TL;DR

ひとことで

Synapse Link は、浮遊するノードをドラッグして近づけ、自動でリンクさせながら全ノードをひとつの繋がりにまとめるミニマルな物理パズルです。脳のシナプスがつながる感覚を、流体的な物理挙動・グラスモーフィズム・虹色エフェクト・透明感のある効果音で表現します。説明のいらない気持ちよさを最優先に設計しています。

Experience Goal

狙う体験

このプロダクトは課題解決ではなく「体験」を届けるもの。狙ったのは次の感覚。設計意図

Who

ターゲットユーザー

プライマリ

複雑な操作や長い説明を好まない、カジュアルゲーマー。移動中や休憩のスキマに、頭を空にして触れるパズルを求める人。

遊びの流れ

  • ノードをドラッグして動かす
  • 近づくと自動でリンクが発生
  • 全ノード接続でステージクリア
Design & Scope

設計とスコープ

コア要素(In scope)

  • ドラッグ操作+近接での自動リンク
  • 全ノード接続でクリア(虹色エフェクト)
  • 流体的な物理挙動(Canvas 物理演算)
  • グラスモーフィズム UI・透明感のある効果音
  • レベル進行で出現する「ブラックホール(引力)」の回避要素

やらないこと(Non-goals)

  • 重いマネタイズ(課金・ガチャ)方針
  • オンライン対戦・ランキング
  • ストーリー主導の重厚な進行
Rendering Recipe

ブラックホールの描き方

このゲームでいちばん手をかけた絵が、レベル 3 以降に出てくるブラックホール。画像は 1 枚も使わず、毎フレーム 6 層を重ねて描いている。同じ絵は nzw.jp のトップページでも徘徊していて、そちらは Flutter 版の BlackHoleRenderer.draw() を Canvas 2D に移植したもの。移植の都合や動きの作り方は nzw.jp の開発ノートに書いた。

ブラックホールの 6 層構造。外側から重力圏、環境パーティクル、降着円盤、事象の地平面、コア、タグ。 1 Distortion Rings — 重力圏 3.8r 2 Ambient Particles — 1.5〜4.0r 3 Accretion Disk — 1.2 / 1.7 / 2.2r 4 Event Horizon Glow — 1.4r 5 Core — r と 0.6r の二重 6 Tactical Info — VOID タグ r = ブラックホールの半径

半径 r を基準に、外側から内側へ 6 層。数値はすべて r に対する倍率なので、サイズが変わっても比率は崩れない。

6 層の内訳

描くもの技法
1 Distortion Rings重力圏を示す同心円 4 本と、内側ほど明るい放射グラデーション不透明度 0.03 × (1 − i/4)。ほぼ見えない濃さで「空間が歪んでいる」気配だけ置く
2 Ambient Particles周囲を渦巻きながら吸い込まれる粒子(12 + r×0.5 個)半径比 1.5〜4.0 から毎フレーム内側へ。0.5 を切ったら外周へ戻す。紫とオレンジを半々で混ぜる
3 Accretion Disk降着円盤。3 層 × 60 分割の円弧加算合成(BlendMode.plus / globalCompositeOperation = 'lighter')。重なった所だけ白熱する
4 Event Horizon Glow事象の地平面のにじみ紫 → 橙 → 透明の放射グラデーション。半径そのものが脈動する
5 Core本体。外側のぼけた縁と、真っ黒な芯の二重外側は blur(7px) 付きで縁を溶かす。芯は 0.6r の完全な黒
6 Tactical InfoVOID: xx.x% のタグと照準のかぎ括弧危険度で色が紫 → 赤 → 金へ補間。0.8 超で点滅する

配色

通常モードは紫を軸に、降着円盤だけ橙〜桃へ振る。「宇宙=青」に寄せず紫に寄せたのは、ノードの水色(Sky 500)と画面上でぶつからないようにするため。敵役の色として、味方色の補色側に置いている。

スターブレイカーモードだけは同じ描画コードのまま配色を差し替え、水色(rgb(6,182,212))基調にして層も 3 → 5 に増やす。形は同じで色だけ変えることで、モードが違うことを一目で伝えつつ実装は 1 本に保っている。

動きの作り方

アニメーションの元になっている変数は 2 つだけ。1 フレームあたり rotation += 0.02pulsePhase += 0.04 と進める。

サイズは 5 段階の表で持つ

半径・重力・引力範囲・移動速度を連続値にせず、CONFIG.blackHoleSizes の 5 段階に固定した。大きいものほど遅いという関係を表に埋め込んであるので、成長させても挙動のバランスが崩れない。

段階半径重力引力範囲速度
tiny100.10600.6
small200.15950.4
medium350.201300.2
large550.301900.1
huge800.403000.05

自然発生するのは medium まで。large / huge はブラックホール同士の合体でしか生まれないので、大きいものを見た時点で「何かが起きた後」だと分かる。huge に達すると 5 秒後に崩壊し、medium に戻りながら tiny を撒く。

Success Metrics

成功指標(KPI)

「触って気持ちよく、また触りたくなる」状態かを、次の指標で見る。数値は目標仮置き

> 80%
初回ステージ突破率
(直感的に遊べるか)
3+ 分
1 セッションのプレイ時間
(心地よく続くか)
> 20%
翌日再訪率
(また触りたくなるか)
Decision Log

主要な設計判断

体験を成立させるための判断を、決定・仮説・結果の 3 点で残す。理由はゲーム設計から再構成

web Web 版は HTML プロトタイプではなく Flutter 本体を出す
DECISION
これまで「Web 版」として案内していたのは初期の HTML プロトタイプ(/st/games/node/game.html)だった。これをやめ、iOS / Android と同じ Flutter のコードを flutter build web したものを /static/app/synapse-link/web/ に置いて Web 版とした。プロトタイプは紹介ページの隅に「初期版」として残すだけにした。
WHY / 仮説
プロトタイプはステージ進行もセーブも残機もなく、アプリ版とは別物になっていた。「Web でも遊べます」と言いながら中身が違うと、Web で触った人の評価がそのままアプリの評価として誤って伝わる。配信元を 1 つのコードベースに寄せれば、以後の更新も自動で Web に乗る。
RESULT
Web でもモード選択・ステージ進行・音まで本編どおり動くようになった。--no-web-resources-cdn で CanvasKit を自サーバーから配るため初回は約 41MB / 数秒かかる。その待ち時間は白画面ではなくローディング表示で埋めた。
core タップではなく「近接で自動リンク」させる
DECISION
ノード同士を明示的にタップで結ぶのではなく、物理的に近づけると自動でリンクが張られる方式にした。
WHY / 仮説
「AとBを選んで結ぶ」操作は説明が要る。近づけると勝手につながる方が、ルールを読まずとも触覚的に理解でき、気持ちよさが勝つと考えた。
RESULT
チュートリアルなしで直感的に遊べる中心メカニクスに。
level ブラックホール(引力)の回避要素を段階的に足す
DECISION
レベルが進むと、すべてを吸い込むブラックホール(引力源)を出現させ、回避しながら接続する要素を加えた。
WHY / 仮説
「近づけて繋ぐ」だけでは早々に飽きる。難度と緊張感を段階的に足すことで、シンプルさを保ったまま深みを出せると考えた。
RESULT
ミニマルな操作のまま、レベル進行で歯応えが増す構成に。
feel 演出(グラス・虹色・効果音)で達成感を増幅する
DECISION
グラスモーフィズム UI、接続時の虹色エフェクト、透明感のある効果音で、つながる瞬間を演出した。
WHY / 仮説
ミニマルなパズルの満足度は「手触り」で決まる。視覚・聴覚のフィードバックが達成感を増幅し、また触りたくなる、と考えた。
RESULT
操作はシンプルでも「気持ちいい」体験に仕上げ、ゲームのアイデンティティにした。
Milestones

これまでの歩み

Web 版2026-08-13

Flutter 本体をビルドした Web 版を公開/トップと紹介ページに導線を追加/初期 HTML プロトタイプは「初期版」として残置

リリース2026-02-18

App Store/Android/Web で公開。Canvas 物理演算によるミニマル物理パズルとして初リリース

Roadmap / Open Questions

これから

未決事項:マネタイズの方針、ステージ供給の持続方法。